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INTRODUCTION
光と闇、記憶と実相が重なり、結ばれる場所──
「いつかの今日」を、映画は辿る。
アートセンターでの仕事を通じて、人と映像の関わりをみつめてきた映画作家・河内彰。映像を「縫合」するという、普遍的とも全く新しいとも受け取れる独自の感性は、瀬々敬久・真利子哲也らをはじめ各映画祭で高く評価され続けてきた。
SNSスラングを題した本作は、親友を亡くしたとある女性の物語を通じて、人の心に現れる「とり残される怖さ」と悲しみ、その先に見えてくる光景を描き出す。
キャストは本作が初演技・初主演のYujin Lee、『誰もいない部屋』の小島彩乃、『なみぎわ』のサトウヒロキら。人物たちの感情の震えを繊細に表現する。
うえだ城下町映画祭 自主制作映画コンテスト 審査員賞(大林千茱萸賞)
ぴあフィルムフェスティバル 入選
福岡インディペンデント映画祭 入選
STORY
一緒にいれなくて悲しい。
それは、ここにいない誰かを思うという
あたたかな気持ちでもある
함께 있지 못해 슬프다.그것은 여기에 없는 누군가를 생각한다 는 따뜻한 마음이기도 한다.
親友のイ・ソンを亡くしたユジンは、彼女の残したボイスレコードを発見する。
ここにいない友と通じ触れながら、ユジンは思い出と現在の時空を行き交い始める。
街のネオン、夜のとばり、彼女の車が向かう先は——。
친구 이 선을 잃은 유진은 선이 남긴 보이스레코더를 발견한다.여기에 없는 친구와 통하며 닿으면서 유진은 추억과 지금의 시공을 오간다.
거리 네온,밤의 어두워짐,유진의 차가 향하는 곳은...
CAST
Yujin Lee / ユジン
1991年 韓国出身
仕事中に河内監督から声をかけられ、本作品への出演に至る。(当初は「エキストラ程度なら」と承諾していたとのこと)本作品が初出演・初主演となる。
高石昂 Kou Takaishi / こうちゃん
1989年生まれ。デザイン事務所にて映画、ドラマ、スポーツなど、エンターテイメントを中心にポスター、キービジュアルを制作するgraphicdesigner / artdirector。個人では「無、間、痕跡、距離」を主なテーマに写真表現作品をInstagramにて日々発表している。
小島彩乃 Ayano Kojima / イ・ソン
1984年生まれ、神奈川県藤沢市出身。大学在学中に小劇場舞台に出演し、ドラマデビュー。以後舞台、映画、CMなどに出演。近年の出演作に『恋愛依存症の女』(17/木村聡志監督)『誰もいない部屋』主演(19/田口啓太監督)『Red』(20/三島有紀子監督)『マニブスの種』(21/芦原健介監督)などがある。
サトウヒロキ Hiroki Satou
北海道札幌市出身。Evergreen Entertainment所属。
映像作品を中心に活動中。一昨年行われたMOOSICLAB2019では『旧題 ゆうなぎ』(常間地裕監督)、『追い風』(安楽涼監督)に出演し、男優賞を受賞。主な出演作に『なみぎわ』(常間地裕監督)、TVO/BSフジ『名建築で昼食を』、グッナイ小形『きみはぼくの東京だった』がある。
藤岡真衣 Mai Fujioka / 学生時代のユジン
1997年生まれ。『幻想譚』(大石秀宣監督)演出..2019年/『海鳴り』(大石秀宣監督)撮影、演出..2020年 映像制作に携わりながら、自身が運営する「デラシネ書館」にて文藝誌の制作、執筆をしています。現在、下町通信社が発行する墨田区の情報誌「すみだノート」に童話を連載しています。
鏑木悠利 Yuuri Kaburagi
衣装小道具として個人活動を始めた参加作で急遽 エキストラで出演もしたことをきっかけに 特技の色々な声や子供の頃からよく ババ臭いと言われた特長を活かし、自主制作映画を中心に 出る(母親~老婆・謎の紳士役 等)、喋る(ナレーション・劇中ラジオの声 等)、作る(衣装小道具製作・調達) と、無所属活動している。
普段の社会人生活(撮影当時は役員秘書)が最たる修行場というスタンスで、肩書きや採算に拘らず本作の役柄の如く(?)異世界間の往来生活を “密かに” 続ける珍種。
スニョン Sunyong / イ・ソンの声
女優、ナレーター、ダンサー、薬剤師。
在日KOREAN3世。日本で生まれ育ち、大学受験資格のなかった時代の朝鮮学校に12年間通い大検を取得し薬科大学に合格、修士課程修了。薬剤師免許取得。社会人を経て俳協にて舞台・ミュージカルを8年経験し、より自分のルーツを世の中に届けるため映像、映画に活動を拡げる。本作品はそのように動き出し初めての韓国人役での出演。
Yujin Lee 高石 昂 小島彩乃 スニョン サトウヒロキ リベニカ 藤岡真衣
横尾宏美 安楽涼 鏑木悠利 三田村龍伸
監督・脚本・編集・撮影:河内 彰
協力:金子尚景 音楽:mu h 韓国語翻訳:スニョン 英語翻訳:西山沙樹 Josh Gates
宣伝デザイン:Do Ho Kieu Diem 宣伝:河合のび 松村厚
配給:Cinemago 配給協力:ギグリーボックス 製作:Crashi Films
2020年/36分/日本/日本語・韓国語/カラー/DCP © Crashi Films
『Fear of missing out』は劇中の大半で韓国語を使用しています。
『Fear of missing out』는 스토리중 대부분에서 한국말을 쓰고있습니다.
DIRECTOR
河内彰 / AKIRA Kawachi
1988年兵庫県出身。主に都内でCrashi Films(クラッシュアイ フィルムズ)として映画の制作を行う。
2017年に真理子哲也、瀬々敬久らに選出され CHOFU SHORT FILM COMPETITION 19thにて、映画「光関係」でグランプリを受賞、注目を集める。
2019年 池袋シネマ・ロサ「二人の作家 河内彰×松本剛」にて二週間の特集上映で劇場公開デビュー。
2020年「Fear of missing out」がPFF(ぴあフィルムフェスティバル)ほか各映画祭にて上映、話題となる。
COMMENT
大変な才人です。ワンカットごとにアイディアと技術が濃縮されています。ここには河内監督自身も乗りこなせていないセンスが横溢しています。
これはどこへ行き着くのでしょうか……。私たち観客はみることによって、その場所を河内監督に指し示す義務があると思います
——大塚信一(映画監督「横須賀綺譚」)
画面の中には映っていないはずの、
人の想いの「気配」を久しぶりに感じました。
もっとこの暗闇に包まれたい。圧倒される作家性。
——大林千茱萸(映画感想家)
高速道路のSAというロケーション、 人はたくさんいるし、車の音もうるさいのにどこまでも孤独な感じがあり、 このシーンの他にもロングショットがこの映画の寄る辺なさをよくあらわしていました。
ラストは濱口竜介監督の映画を思い出しました。
——新谷和輝(ラテンアメリカ映画研究者)
魅せられる瞬間が沢山ありました。
人が何かを思い出す行為は暗闇の中に光が差すようなことで、
それが映像的に描かれていました。
人が生きていくうえでよりどころにしている記憶のありかを
光や声を通して表現していた作品として魅せられました。
——小原治(ポレポレ東中野スタッフ)
※PFFアワード2020審査評より一部抜粋
耳に残るもの、目に写るもの記録していく過程は、ドキッとさせられ、
それ自体がまさに映画で、
あるひとつの物語を通して、抽象度の高い真理のようなものを教えてくれる。
示唆に富む映画は心地よく、爽快感さえ感じました。
——長井龍(映画プロデューサー)
折り重なる闇、灯り、会話。共鳴する心。
いつまでも浸っていたい、至高の36分。
——大塚大輔(福岡インディペンデント映画祭 )
かつてヌーベルバーグが、映画表現の極みに挑戦した息吹をこの作品に感じる。全体を深く静かに抑えた画面に輝く眩しいまでの光、長回しに流れるモノローグ、2時間分を2分に凝縮した冒頭のドラマ、ローラー滑り台は絶品。
——山﨑憲一(うえだ城下町映画祭実行委員会 委員長 )
私たちが亡き人を憂い、想い、目に見えぬ力に縋るのは、
孤独に勝てないとよくわかっているからだろう。
結局、失ったあの人の気持ちなんてわかりっこない。
すぐそばにある温もりや優しさを殺し、
手放す犯人は自分自身なのだから。
——島崎莉乃(俳優・タレント)
映画という刹那に憑くどうしようもない悲しみ
おもわずふと死にたくなるような悲しみに
この監督は決して眼を背けられないし
まず、そうする気もないのだろう
——河合のび(Cinemarche編集長/詩人)
現代は「装い」の時代だ。
風邪を装う伝染病にリア充を装うロンリー・ガイ、
万事快調を装う亡国。本作もそうした「装い」にあふれている。
幼児を装う逃亡犯、純粋さを装う悪意、死者を装う生者、あるいは滑り台の隙間からつかめそうな現前を装う過去。ただし、「映画」と呼ばれるものが姿をあらわすのはあらゆる「装い」がひっぺがされたその瞬間だ。
暗くかすんだ映画館のかたすみでそのおとずれを静かに待て。
——宮崎大祐(映画監督「VIDEOPHOBIA」)
屋上での、拳銃のシーンが特に好きです。 "超現実"に目を奪われ、心から痺れました。 舞台でも、小説でもない、映像表現だからこそ生み出せる類い稀なる感性でした。 スタッフ、キャスト、それぞれの今後の活躍にも期待しています。
——大久保渉(ライター・編集者・映画宣伝)
体育館でのバスケ、夜の滑り台、日の出、上空からの道路など
美しいショットの連続に魅せられました。
特にサービスエリアでのシーンには圧倒され、観たことのないロードムービーに酔いしれました。
唯一無比の河内監督作品にまた出会えるのを楽しみにしています。
——原武史(レンタルビデオ店スタッフ)
静かな流れの中に人間の「記憶」という名の清流が混ざり込み、
危うくも絶妙なバランスに目が離せない。
——中山優輝(俳優)
気持ちに整理をつけることの過程には言葉が必要だ(たとえそれが嘘であっても)。こんがらがった記憶をたぐりよせるように、記録されなかった現実や過去を、独特な映像表現で画面に焼きつけている。
——上條葉月(映画館スタッフ/字幕翻訳者)
ユジンの静かな旅はソニの「声」を探しにいく旅であり、
取り返しのつかない過去を、
そして友人の死を受け入れるまでの道のりでもある。
——久保田ゆり(PFFスタッフ)
声と記憶の間を彷徨いながら、闇をくぐり抜けた先で、
果たしてユジンはもう一度彼女に会えるのだろうか。
——安川有果(映画監督)
あの世と波長をあわせる演出か?
テンションの低い会話がつづく印象だが、それは決して悪でない。
来世と同一の地平で現世を映そうと試みたのだから。
ラスト7分、長く暗い画面が、急に明るくなって…。
——鈴木朋幸(トモ・スズキ・ジャパン プロデューサー)
よく知っている人が遠くから自分をじっと見ている。
怒っているようにも、悲しんでいるようにも見えるけど、
明滅する光の壁のせいで、相手に言葉が届かない。
そんな映画。せつない。
——長谷川朋史(映画監督「あらののはて」)
目を見張る情景がいくつもありました。
詩情に溢れた作品で、映画を見たというよりは、
あるひとつの詩を体感した、
あるいは一人の人間の体験を追体験した映画。
——木村奈緒(フリーライター)
パーキングエリアの男女の語りと、 時折挟まれる、自殺した友人が残した韓国語の録音データ、 鳥瞰で捉えられた街が、静かなハーモニーを奏でている。 死を悼むように、ゆっくりと時間が進んでいく。 カメラに映すことのできないものを捉えようとする、果敢な取り組み。
——仲本拡史(映像作家)
ANOTHER /併映作品
「IMAGINATION DRAGON」
創造はどんな場所、世の中でも無限に広がり芽吹く。
東京都によるコロナ禍における映像企画として採択され制作されたショートフィルム。
休館を余儀なくされたアート施設を舞台に、 創造・想像に対する願いをこどもたちの純粋な行動に託し、カメラが追う。
想像の竜はどんな時、どんな場所にでも、静かに眠っている。
・ART WORKS
Junya KATAOKA 〈Rotating Clock,Still Second Hand(at the Wall of 3331)〉Masato NAKAMURA 〈Barber Pole〉Shingo SUZUKI 〈Illumination Camouflage_yellow〉Kousei SASAKI 〈Nontitle〉Hiroshi FUJI 〈Toys Saurus〉
監督・脚本・編集・撮影:河内彰
CAST:YUUJI KIKUTA、YUUNA KANEOYA、KEISUKE KAWASAKI、A-BOW、NONO
協力:3331 Arts Chiyoda
英訳:Emily McDowell
音楽:mu h
2020年/15分/日本/日本語/カラー/DCP
THEATER
・横浜
2021.9/24~9/30 15:50~ 上映
10/1~10/7 17:20~ 上映
・東京
・長野
2021.7.10 上映
・長野
・名古屋
2021.8/21~8/27 18:35~ 上映
2021.8/28~9/3 20:45~ 上映
2021.7/31~8/20 20:30~ 上映
「IMAGINATIONDRAGON」「フィア・オブ・ミッシング・アウト」
「IMAGINATIONDRAGON」「フィア・オブ・ミッシング・アウト」
「IMAGINATIONDRAGON」「フィア・オブ・ミッシング・アウト」
・京都
2022.1/14~ 17:00~上映
「フィア・オブ・ミッシング・アウト」のみ
「IMAGINATIONDRAGON」「フィア・オブ・ミッシング・アウト」
・広島
2021.12/16 18:00~ 上映
「フィア・オブ・ミッシング・アウト」のみ
・大阪
2022.1/15~ 18:00~上映
「IMAGINATIONDRAGON」「フィア・オブ・ミッシング・アウト」
・沖縄
2022.4/18~22 上映
「IMAGINATIONDRAGON」「フィア・オブ・ミッシング・アウト」
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